2013年6月16日、昼間大英博物館に行きましたが、夜はロンドンのソーホー地区のGerrard Street ジェラルドストリートを中心とする中華街、チャイナタウンにやってきました。
ロンドンの中国人と中華街
現在、イギリスに住む中国人は、約40万人と言われています。そのうち、ロンドンには約11万人が住んでいます。
移民として中国人がイギリスの記録に現れるのは1782年です。その後、イギリスがアヘン戦争で勝利すると、中国から東インド会社の船員として、広東省、上海などから多く来るようになりました。
ロンドンのチャイナタウンは、これらの船員たちが集まって、ロンドン東部のテムズ川沿いに住んだのがはじめと言われています。
第2時世界大戦後、香港にタイヤビルマから安い米が輸入されるようになり、地元農家が打撃を受け、多くの中国人が渡英しました。
そして、当時は風俗的に環境も良くなかったソーホー地区は、土地の値段も格段に安かったので新たな街を作り上げました。
特に1960年台には、一斉に中華料理店や仕出し業が多く出店し、ヨーロッパ一のチャイナタウンを形成しました。
私も、1973年~1974年にロンドンに住んでいた頃は、よく中華街に行きました。ひとつは、安い中が料理店で食事をしたりしましたが、当時の店で記憶に残っているのは、「利口福」などです。
また、中華食材を売っているスーパーで食材を求めていましたが、生中華麺を買い、日本のインスタントラーメンのスープと合わせて食べていました。この生の中華麺は、細麺で色が黄色でなかなかのお気に入りでした。
10数年ぶりの中華街は、記憶に残る店もほとんど見当たらず、速すぎる街の変化にびっくりしました。
無愛想で無礼なことで有名な大衆中華料理店 Wong Kei ワン・ケイ
さて、ピカデリーサーカス近くの中華街にやって来ましたが、お目当てのレストランはすでに決めていました。
それは、Wardour StreetにあるWong Kei ワン・ケイです。
右の写真のイギリス専門誌「ミスター・ パートナー 2010年 11月号 」に、このレストランは無愛想なで有名と掲載されていたからです。
その刺激的なタイトルは、「ソーホーの皿投げ中華料理店 英国一無礼な店が儲かるヒミツ」です。
そしてその店の名が、「Wong Kei ワン・ケイ」です。
ミスター・パートナー誌によると「店には入れば、「How many ?!」(何人)と怒声が飛び、「Upstairs!(上に行け)」または「Downstairs!」(下に行け)と命令される。メニューで間違えれば舌打ちされ、取り皿は手裏剣のように飛んでくる」と書いてありました。
この店は、1981年に開店しましたから、もう30年にもなります。
倫敦に住む日本人留学生や駐在員は必ずお世話になるとも言われており、サービスが劣悪とも言われているこれだけ長く続いて、繁盛しているのにはもちろん秘密があります。
それは、「安い、旨い、量がある」が三拍子揃っていることだと言われています。
「ミスター・パートナー」誌のインタビューに現在の経営者であるアンディ・チャン氏は、「この店の酷評には慣れている。サービスが悪くても、美味しくて安いことが大切。評論家のアワードには興味が無いし、テレビの取材も全て断っている」とのこと。
「上!」、「下!」への案内も膨大な客を少ないスタッフでさばくためのノウハウで、まず地階から客を入れていくためだそうです。
それに、仕入れは常に現金で買い叩き、味にも気を配っているのでロンドンの中華街の激戦区でも勝ち残っています。
私達は、夕食にと中華街に出かけました。
中華街のメインストリートであるGerrard Streetは、東西に横たわっていますが、Wong KeiのあるWardour Streetは、南北に走っています。
店構えは、結構大きくて立派です。
店に入ると、地階に行くように案内されました。席に座ると男性のスタッフが注文を聞いてくれましたが、そう横柄でもなく拍子抜けしました。
今となっては、コースを選んだのか、単品を適当に注文したかは記憶に定かではないのですが、どうもコースを選んだようです。
というのも、次々に料理が運ばれてきて、食べきれなくなったからです。北京ダックや炒飯、各種煮物などで量が半端ではありません。
味は、日本人好みの正統派広東料理です。
サービスもとても良いとはいえませんが、笑顔も見えてミスターパートナー誌の記事ほどはひどくはありませんでした。
ロンドンに行く機会があれば、このような中華料理屋さんも話の種にはいいのではないでしょうか。
なお、今回紹介しているイギリス・ロンドンの専門月刊誌「ミスター・パートナー」では、ロンドンの中華街などの移民地区の庶民派レストランを取材し、とびきり評判がいいレストラン、カフェ、パブを紹介している「ロンドン300円~のおいしい移民レストラン・カフェ・パブ 今井靖子著」という本がありますので参考にしてください。
41-43 Wardour St., London W1D 6PY
020-7437-8408