コッツウォルズのローズオブマナーホテルでアフタヌーンティーをいただきました。
アフタヌーンティーとは、まさに午後の紅茶のことです。
日本でも洒落た喫茶店では、アフタヌーンティーセットを出してくれるところもあります。
本来はイギリス発祥の紅茶と一緒にサンドイッチやケーキなどをいただく習慣です。
この習慣は、おやつの時間ではなくて、イギリス上流階級の社交の場としておこなわれ、マナーやインテリア、家具、食器、花などを題材にして会話がなされることから、広範な分野の知識・教養そしてセンスなどを必要とします。
いわば、日本の茶道に近いものです。
紅茶はもちろんですが、キューカンバーサンドイッチ(きゅうりのサンドイッチ)、スコーン、ケーキなどがティースタンドという3段重ねのトレイに盛って出されます。
マナーハウスホテルの2階の部屋で、しばらく有頂天になって窓の外を眺めていると、下の前庭のテーブルでお茶を飲んでいるのを見かけました。
折しも時刻は午後4時過ぎで、あれが俗にいうアフタヌーンティーであることはすぐに分かりました。
Kさんに、アフタヌーンティーでもしますかとたずねると賛成ということで庭に出てみました。
庭のテーブルにホテルの係員が来ましたので、メニューを見てみると、フル・アフタヌーンティー、つまりサンドイッチやチーズなどがつくのは、20ポンド、つまり3,400円くらいでした。
ロンドンのホテルでもこれくらいはすぐかかりますので、相場といえば相場ですが、実は、午後8時30分からはホテルのレストランでフレンチのフルコースを予約していたので、ここで食べ過ぎるとせっかくのフレンチがお腹に入らなくなるのではということで、スコーンと紅茶のセットと軽くすることにしました。
この紅茶とスコーンのセットが9.5ポンドですので、1700円くらいです。
やがて、芝生を横切って、アフタヌーンティーが来ました。
この紅茶とスコーンのセットは、別名クリームティーとも言います。
クリームは、クロテッドクリームのことを意味しており、上の写真ではスコーンの間に挟まっている容器の中の黄色いものです。
日本の喫茶店等でスコーンを注文すると、よく生クリームがついてきますが、基本的にイギリスのアフタヌーンティーのスコーンには、クロテッドクリームです。
クロテッドクリームは、別名デヴォンシャークリームと言うくらいでイギリスの南西部デヴォンで作られている伝統的なクリームです。
作り方は、脂肪分の高い牛乳を弱火で煮詰めてそれから一晩おいて表面にできる脂肪分を集めて作ります。
その脂肪分は、バターよりも少なく、生クリームよりも多い中間的なものになります。
日本ではなかなか見かけないのですが、博多駅の博多阪急のデパ地下にある「ベノア」で販売しています。
また、日本国産では中沢乳業が製品化していますが、本場デヴォンのクロテッドクリームにはかなわないようです。
さて、ローズオブマナーホテルのクリームセットには、クロテッドクリームにイチゴのジャムが付いています。
スコーンを割り、まずクロテッドクリームをつけ、その上にイチゴジャムをのせるのが一応、正式なやり方です。
このスコーンを割る時に、スコーンの横に割れ目があることがありますが、この割れ目を Scone with beautifur “woif’s mouth” と「狼の口」とイギリスでは呼びます。
この割れ目があることが、スコーンの美味しい焼き上がりを意味しています。
ローズオブマナーホテルの美しい緑の庭で、小鳥のさえずりを聞きながら、そよ風の中でいただくミルクティーとスコーンは、大変美味しくてこれこそ至福の極みでした。
同行のKさんも、このクリームティーの美味しさには感激したようでした。
なかなか店頭では見かけないクロテッドクリームもネットでは簡単に手に入ります。本格的にスコーンでイギリス式アフタヌーンティーをどうぞ。
スコーン用にクロテッドクリーム
イギリスの伝統的なフル・アフタヌーンティには銀のティースタンドが欠かせません。
少し高いのですが、自宅でアフタヌーンティーをする時には、雰囲気がぜんぜん違います。
アフタヌーンティースタンド